旅先での素敵な出会い -2




どこへ行くのかと言うと、現地の人が暮らすような場所へ赴くのが好きなのである。朝の公園や下町の屋台をめぐったり、九龍地区の路地裏を歩いたり、そんな日本人や西洋人も少ないような辺りを散策した。そんな場所を場違いな僕達が歩いているので、地元の人々は僕達に鋭い視線を浴びせていたのを覚えている。下町の屋台を巡った時など、谷岡亜紀の歌「臓物を大鍋に煮る屋台まで人生の今日を歩み来たれり」を思い出した。「下町をブラブラ散策していたら、大鍋で贓物を煮込んでいる屋台を見つけた。食べてみれば素晴らしく美味しい。これを食べるために今日まで歩んできたんだ。」恐らくこんな意味だろう。旅をこよなく愛する谷岡亜紀と同じ心境になれたことがとても嬉しかった。

旅先でタクシーに乗ると、必ず「どこから来たの?」「ここへ来たのは何回目?」などの会話が運転手と繰り広げられる。香港でも同様だった。20代そこそこの運転手と僕らは英語で会話をする。彼は普通に英語を話せるが僕らは片言の英語だ。しかし、ジェスチャーを交えながら、あっという間に打ち解けてしまった。乗車時間は30分程度だろう。その間にはたわいも無い会話から、日本の文化に関する話にまで至った。

文化と言っても、そんな崇高な話ではなく、日本で流行っている歌の話である。日本の情報がたくさん入ってくる香港では、日本で流行っているアーティストや歌を当然のように知っていた。目的地に着いた彼は、楽しかったからと料金を請求しなかった。あまりにも断りすぎるのも素敵な出会いを台無しにしてしまうので、僕らは日本円を記念に渡す事にした。香港での出会いは、彼との出会いが最も印象的であった。

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