バリでの新しい出会い
バリに旅行したのはもう数十年前の事になる。たった一度だけの数日間の旅行だったけれども、私はバリの魅力に取り付かれてしまった。癒しの国バリと言われるだけあって、日本であわただしく暮らす私の心を一瞬にして癒してくれたのである。この旅行をきっかけに、人生の後世はバリで暮らそうと本気で思って、その考えは今でも変わらない。何がそんなに私の心を癒してくれたのかと言うと、あのゆっくりとした時間の流れ方、亜熱帯のけだるい空気、バリならではのガムランの響きである。
観光で見たバロンダンスも魅力的だった。今でも時折夢に現れてくるくらい私の中では印象的でした。中沢新一の著書の中でも書かれているシークレットダンス、初潮前の少女をトランス状態に導いて行なわれるダンスであり、「サンヒャン・ドゥダリ」なる秘儀舞踊。バリには日本には無い独特の雰囲気があり、この雰囲気に私は魅せられてしまったのだろう。
異国での楽しみには、異国の人との新しい出会いがある。バリでも新しい出会いがあり、私はホテルのボーイと仲良くなり、バリの魅力について色々質問をした。日本のことを聞かれてこれほど答えられる日本人はいるだろうか?そう思わせるほど、彼はバリのことをよく知っていて、私に一つ一つ丁寧に答えてくれた。バリと言う島にも魅力を感じたが、バリをこよなく愛する彼にも私は魅力を感じたものだ。
帰国後も彼とはしばらく文通をした。それもいつしか自然と途絶えてしまい、今彼がどうしているのか全く知らない。けれども、あの時した約束、「今度は僕の家に遊びにおいで」その言葉が、実現できるような気がしてならない。バリに次に訪れる予定もないし、残りの後世を暮らすにもまだまだ早い。けれども、時折こうして彼のことを思い出すと、バリ滞在中に受けたような心の癒しと、バリの不思議な魅力を簡単に思い出すことが出来る。そして、彼との再会は実現できると何故か不思議と自信があるのだ。
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